火の雨が降った後
「火だ!家に燃え移るぞ!」
外から男の人の叫び声が聞こえてくる。
その声に、ギュッとつむっていた目が開き、顔を上げた。
火…?
とっさに防空壕を飛び出すと、縁側の軒が燃えている。
!?
慌ててそこら辺にあったほうきを手に取り、力の限り叩いた。
油の臭いが鼻を刺激する。煙が目に入って涙が出てくる。
火の熱さで汗が額から流れ落ちる。
だけど、そんなことを気にして手を止めている時間なんてなかった。
軒の火を叩いている最中にも、背後にブスッと何かが突き刺ささる音が何度もした。
振り返って確認しなくてもその音が何なのか分かる。
焼夷弾だ。
衝突した弾みに油に引火し火が広がると、誰かが言っていた。
それを聞いた時は、川崎や東京方面の暗い空を眺めていた時で、暗い夜の空にオレンジ色や青色の塊が降り注ぎ、それを綺麗だと見とれた自分がいた。
「こんちくしょー!!」
何が綺麗だ!何が花火みたいだ!
全然違う。綺麗なんて言えない。そんなことを感じた罰なんだ。
この焼夷弾め!!消えろ!消えろ!!
ワケわからない腹立ちで私は涙を流しながら必死に、次々広がる火を叩きつけていた。
外から男の人の叫び声が聞こえてくる。
その声に、ギュッとつむっていた目が開き、顔を上げた。
火…?
とっさに防空壕を飛び出すと、縁側の軒が燃えている。
!?
慌ててそこら辺にあったほうきを手に取り、力の限り叩いた。
油の臭いが鼻を刺激する。煙が目に入って涙が出てくる。
火の熱さで汗が額から流れ落ちる。
だけど、そんなことを気にして手を止めている時間なんてなかった。
軒の火を叩いている最中にも、背後にブスッと何かが突き刺ささる音が何度もした。
振り返って確認しなくてもその音が何なのか分かる。
焼夷弾だ。
衝突した弾みに油に引火し火が広がると、誰かが言っていた。
それを聞いた時は、川崎や東京方面の暗い空を眺めていた時で、暗い夜の空にオレンジ色や青色の塊が降り注ぎ、それを綺麗だと見とれた自分がいた。
「こんちくしょー!!」
何が綺麗だ!何が花火みたいだ!
全然違う。綺麗なんて言えない。そんなことを感じた罰なんだ。
この焼夷弾め!!消えろ!消えろ!!
ワケわからない腹立ちで私は涙を流しながら必死に、次々広がる火を叩きつけていた。