火の雨が降った後
ポタポタと頭巾から滴り落ちる水に、ハッと我に返り両手で頬を叩いた。


いけない、今は生き延びることだけを考えなきゃ!!悲しんでる暇なんてない!


どっちに逃げよう…。久保山は危ないって郡ちゃんが言ってたから…


十字路を通る人たちを見つめながら考えていた時、バラバラバラと豆を落としたような音と悲鳴が響く。


何!?


そんなことを思う間もなく、飛行機が飛んできた。


何でこんなに低く…?


逃げないと…


分かっているのになぜか体が固まり動かない。


背中から寒気が上っていくのを感じる。


どんどん近づいてくる飛行機。


このまま打たれて私は死ぬんだ。


そう感じながらも、目の前に近づく飛行機から目を離せないでいた。


「危ない!!」


背後からそう叫び声が聞こえたと思った瞬間、体が宙に浮いた。


ゆっくりとスローモーションのように映る景色。


その中に見えたのは、飛行機の中で笑う外国人だった。
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