破壊都市
『…当たり前だろ…。サエコの両親に初めて挨拶しに行くんだぞ…!…しかもその挨拶が嫁にもらう挨拶だなんて…!』

それでもサエコの笑顔を見る度に心の安らぎを感じた。





両親の前に座るといつも以上に時計とカレンダーばかりに視線を向けてしまう。






2051年07月22日(土)

09:45






12:00前後で失礼して式場へ向かう予定だ。




早くその時間が来てほしい…





「…タケシさん?何お飲みになりますか?」
「え?」
サエコの母親が自分の顔を覗くように見ている。

目の前では父親が腕を組んでどっしりと座っていた。




「……じゃ…じゃあ…水で…」
「…遠慮することはない。麦茶とかも飲みなさい。」
突然父親が表情を変えずに言う。

「…麦茶でよろしいかしら?」
「……あっ、はい!お願いします!」




目の前に麦茶が置かれると一気に飲み干し、気持ちを落ち着かせた。



「あら!アハハ!」
母親が笑ってる口を抑えながらもう一方の手で麦茶を注ぎ足した。
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