マイ・スペース
居心地いいってなんだよ。
他の男も誘ってみんなで飲むとか無理。
さっきとはちがい力をいれて抱きしめると、ふふふとカエデは笑った。
今度は本気で抱きたいと思った。
カエデが好きとか、カエデが俺のこと好きとか関係なくて。ただ、カエデに俺の存在を知ってほしかった。今まで以上に。
カエデが腰をさすりながら帰った後、彼女と別れた。
カエデのことを好きになったわけじゃなかった。
だけど、彼女とはもう付き合ってゆけない気がした。
彼女との電話をきったあと、部屋には甘い香りがかすかに残っていて、帰ったばかりの華奢なナマケモノを愛しく感じた。
大学2年の秋、俺の世界が少しかわった気がした。