マイ・スペース
「はいよ」
「いつものとこ?」
「うん」
「じゃ今から行くわ」
通話時間十秒の会話のすぐあと、コツコツコツとこれまた聞き馴染みの足音がする。
「うわー相変わらずダルそうだね」
ニッコリ笑ってそう言う彼女の眼の下には濃いクマが。
ま、化粧で隠しているけど私にはわかる。
「ダルくない。昨日早く寝たし。寝起きなだけ」そう答えると「ふーん」と興味なさげに、彼女も煙草に火をつけた。
しばらく二人黙って、自分の世界を楽しんでいた。
こう言うと「薬をやっているのか」と勘違いされそうだが、違う。ただシンプルに煙草を吸う時間を楽しんでいる。
レナは私に煙草を教えてくれた子だった。
何かの話の拍子に煙草を吸ってみたいと言った私に付き合って、禁煙していたのに喫煙者になった。