マイ・スペース
カエデは居場所を欲しがっている。
彼女は口にはださないけど、ふいに口にだす言い回しだとか、雰囲気でそれを感じる。
しかもその欲している居場所が厄介で、簡単に言えば昔の男を引きずっているとしか思えない。
「てか、いつまで泣いてるわけ?男のくせに」
まぁ、あたしもこんな男カンベンだな。男のくせに。という言葉に反応したらしく、グスッと鼻をすすりながらようやく落ち着いた。
「俺さぁ、カエデのことよくわからなかった」
急に何を言い始めるんだ、こいつは。でも確かにそう思っても無理はないだろうな。
「自分から会いたいとか言わないし、ふざけて『緊張するから電話苦手』って言ったら、ほんとに電話しなかったし。
会ってる時も、ご飯一緒に食べてる時もどこか上の空っていうか…ぽわーんとした感じっていうの?
そこが好きだったと言えばそうなんだけど…」