マイ・スペース
だから、大学を卒業した後の進路なんて本気で考えたこともなかった。
今まで漠然と生きてきたから、これからも漠然と時間が過ぎて、人生を終えるのだと思っていた。
だから、彼がきちんと将来のことを考えていると知ったとき、驚いたのと同時に寂しくもあった。
「カエデと一緒にいろいろ見てくうちに、何となく自分のことがわかった気がする」
だから、それを確実にするために海外に行ってみようと思って。
今まで見たことのない真剣な眼差しで言う彼を、私は止めることができなかった。
行かないで。とも、頑張ってね。とも言えず、ポロポロと涙を流しただけだった。