マイ・スペース

「俺の居場所はカエデの隣だった気がする」


彼が私のことを見ているのは分かった。私はむくっと起きて、私を見ている彼を見た。


「私も。ハヤテと見たものはどれもキラキラしてた。私の居場所もハヤテの隣だったよ」


泣くかと思ったけど、意外なことに笑うことができた。ハヤテも笑った。


帰り道、ハヤテがこぐ自転車の後ろに乗りながら、空を見ていた。

私もハヤテも、同じ空の下にいるのに、少し離れただけで終わりになってしまうのか。


そう思うと馬鹿らしいけど、私たちはそうなるべきなんだと思えた。


居心地の良い場所を離れて、どうかわるか冒険するべきなんだ、と。


私を駅まで送り届けると、ハヤテは私の頭をぽんぽんと撫でた。



< 77 / 188 >

この作品をシェア

pagetop