マイ・スペース
後ろに座っていた女がヘルメットをとって、男に返す様子は手慣れたもので、二人は何か話すと原付は走り出していってしまった。
女は後ろ姿を見送ると、ヒールをコツコツ鳴らしながら、授業棟と呼ばれる校舎に向かって歩いていく。
俺が見ていたのは、六階からだったけど、色白で細い女ということがよくわかる。
サトウカエデを知ったのはその時だった。
次に彼女に会ったのは、キャンパス内で一番大きな喫煙所だった。
マコちゃんと一緒に煙草を吸っていた。
マコちゃんとなぜ知り合いかというと、マコちゃんの彼氏が俺の友達だったから。
まぁ、今は元カレだけど。三人でご飯を食べに行ったこともあるし、相談を受けていたこともある。
そいつと別れてからも、学校内で会えば話したりもするし、勉強を教えてあげたりする先輩後輩の関係。