【花集】恋の打ち上げ花火
双子はちょっと目を離すと、お握りの具だけをほじって食べ出すし、スイカの種は噴出すし……

わたしは忙しなく、二人の様子に目を配る。

「マキ、ゼンゼンタベテナイ」

「あ、わたしは、お結び一つ食べれば十分だから。ジウさん、遠慮しないで沢山食べてくださいね」

「マキ、オオキクナレナイヨ。ア、モウオッキイカ」

アハハ……と、ジウさんはまた前歯の一本抜けた口を大きく開けて笑った。

「ジウさん、前歯、折れちゃったの?」

わたしは、なんだか可笑しくなって、自分の前歯を押さえて首を傾げた。

「オレ、フォワード、タックルサレル。コノマエバデ4ホンメ」

「ええぇ~」

わたしはビックリして大口空けて、大声で叫んだ。

「ラガーマン、フツウフツウ。モウスグマエバデキル。シンパイナイ」

「だ、だって、痛いでしょぉ~」

「ア、スコシ」

「わたし、ソウやタクに、そんな危ないスポーツやらせてるの?」

「ラグビー、アブナイスポーツチガウ。トテモシンシテキナスポーツ。デモ、タックルハキケンダカラ、コドモニハヤラセナイ。コドモハ『タグラグビー』」

「タグラグビー?」

「ソウ、シッポトリ。コシニヒモツケテ、ソレトラレタラ、ボールヲモッテチャダメ」

「ふぅ~ん」

わたしは、訳もわからず頷いた。

だって、ラグビーのルールも良く知らず、月人くんに言われるがままに双子をグランドに連れて行っていた。

双子はあの日から、大の月人ファンで、月人くんに誘われて、すっかりその気になってたから。

あ、今日からはジウファンになっちゃったかなぁ。
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