【花集】恋の打ち上げ花火
「タク、ソウ、シズカニ」

ジウさんは、双子を制して、わたしの顔を覗きこむ。

「マキ、オレガ、タクト、ソウニ、マキノヒザマクラデネテイイカキキマシタ。

フタリトモ、イイヨッテイッテクレマシタ。

ネエチャンノヒザマクラハトクベツダゾッテ」

小さい頃のお昼寝の時間、わたしの膝枕を取りっこしていた琢磨と走磨。

だって、わたしの膝は一つしかなくて、そこは特別いい子でいた日のご褒美だった。

(そういう意味だったのか……)

わたしは涙を拭って、ジウさんを見た。

心配そうに覗き込む優しい目。

「ごめんなさい。もう大丈夫です」

わたしは必死に笑顔を作ってそう言った。

「マキハ、チン ファ、ヤサシイ」

ジウさんの、大きく厳つい手が、わたしの頬にそっと触れた。

「レッツゴー、ジェットコースター!」

ジウさんが、双子の方を振り向いて、奇声を上げる。

「「レッツゴー、ジェットコースター!」」

双子がそれに続く。

ぱぁ~っと、行きますか、ジェットコースター。

わたしはまた、元気に歩きだす、三人の背を追って。
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