【花集】恋の打ち上げ花火
「わたし、昔はお化けなんて平気だったの。

でも、タクとソウが生まれるちょっと前、お産の為に、両親が二人とも病院に詰めなきゃならなくなって、わたしは一人家に残されたの。

もう十歳だったし、最初は大丈夫、怖くなんてない、って思ってたんだけど……

夜中に何度も物音で目が覚めて、怖くて身動きもできなくて、そのうち、なんだか、近くに何かがいるような気がしてきて……

嗚呼、もう、ほんとに怖かったの。

その時からなの、お化けがいるって思うようになったのは。

そう思ったら、もう怖いのなんのって、怖がらなきゃいけないみたいな……

可笑しいでしょ?」

わたしの話をじっと聞いていたジウさんは、クスリと優しく笑うと、その大きな手でわたしの頭を優しく撫でた。

「マキニコワイモノアッテヨカッタ」

って、どういう意味ですか?

「オレガマモッテヤレルカラ」

そう言って、わたしの手を優しく握った。

(や……やだ、ジウさん……わたし、わたし……ジウさんが……)
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