【花集】恋の打ち上げ花火
「ほら、タク、ソウ、後ろ向いてじっとして」

わたしは、双子の背中に日焼け止めを垂らし、ゆっくり丁寧にのばし始めた。

「オレ、テツダウ」

ジウさんが、横から手を出してきて、おっきな手のひらで、思いのほか器用にローションを広げ始めた。

「あら、ジウさん上手ですね」

「アタリマエ、オレ、キヨウ。カラダニニアワズ」

振り向いた笑顔が、これまたキュートでぐっときた。

なんて優しい目なんだろう。

「マキハヌラナクテイイ?」

「えっ?」

差し出された手は、日焼け止めローションを要求してる?

「え、でも、そんな……」

わたしの手からローションをもぎ取って、

「エンリョシナイ、エンリョシナイ」

ジウさんは前歯の一本抜けた真っ白い歯を見せて不敵に笑うと、わたしのパーカーをするりと脱がした。

「え、やだ、そんな……」

くるりと後ろを向かされて、肩に冷たい感触が落ちてきた。

大きな手のひらが、優しくわたしの肩を撫でる。

(やだ……なんか、へんな感じ……)

「「ジウは俺達が塗ってやる!」」

その背中に双子がよじ登って、小さな手でローションを塗っている。

「オシマイ?」

背中の双子に声かけて、ローションを受け取ると、ジウさんがわたしを見て言った。

「マキ、キレイ。オレハナガタカイ」

ハハハハ……と高笑いして、双子を肩に乗せて、あたしのプールバックを持って歩き出す。

(やだ……なんか、嬉しい……)
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