RUN&GUN
「藍さんがやられるとは、思ってませんよ。俺が心配したのは、辰巳のほうです」

藍が、ぶぅ、と膨れる。

「あたしのことは、全く気にもかけてくれないのぉ?」

「大好物の稲荷を置き去りにいなくなるなんて、何かあったな、とは思いましたが」

「色気のない理由だわっ」

拳で与一の胸をぽかぽか叩き、藍が喚く。
どういえばいいのだ。

うんざりと、与一は頭を抱える。

「よいっちゃんは、いまいち女心というものが、わかってないわね。可愛い藍さんに何かあったんじゃないかと、気が気でなかったですとか、言ってくれればいいのに」

「俺が藍さんを心配するなんて、おこがましいです」

「それもそうね」
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