RUN&GUN
「藍さんは、休んでてもいいですよ」

「やだ。よいっちゃんがいないと、体力回復しないもの」

わけのわからないことを言い、藍は帯を与一に渡す。
手慣れた感じで、与一は帯を締めてやった。

「よいっちゃん、色町でもやっていけるわね」

きゅっと締まった帯を、ぽんと叩きながら、藍が笑う。

「さぁ、どうでしょう。遊女の帯は、締めたことありませんし」

十四年前、お三津の懇願を置屋の旦那が受け入れていれば、今頃はこういうことが仕事になっていたんだろうか。

何だか最近、やたらとお三津の名前が思い出されるなぁ、とぼんやり思っていると、藍が、じっと見ているのに気づいた。

「また何か考えてるでしょ」

「そりゃ俺だって、いろいろ考えますよ」
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