RUN&GUN
はぐらかすように言う与一の顔の前で、立てた人差し指を左右に振り、藍は意地悪そうな笑みを浮かべた。

「言っておくけど、よいっちゃんは、あたしのだからね」

「・・・・・・わかってますよ」

突きつけられた指を掴んで言う与一に、藍はにっこりと笑いかける。

与一は、頭一つ分も小さい位置から己を見上げる藍を見つめた。
握っている手は、与一の手にすっぽりと隠れてしまうほどに小さい。
この小さい手で、与一のエンフィールドの倍ほどもある重さのSAAを、事も無げに扱うのだ。

「なぁに? 手ぇ握っちゃって」

恥じらうように、藍がうっすら頬を染めて言う。

並の男なら、ここから激しい恋模様が展開されるだろうが、表情を変えることもなく、与一はあっさりと手を離した。
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