RUN&GUN
「人は、見かけによらないなって、思っただけですよ」

「どういう意味よ」

先程の、蕩けるような表情からころりと変わり、藍が睨む。

「つまんないわねぇ。ちょっとは、ノッてくれてもいいじゃない。珍しくよいっちゃんから仕掛けてきたと思ったのに」

与一はわざとらしく、ふぅ、と大きく息をついた。
誰がいつもの藍の恋愛ごっこになどのるか。

「そんないつも冷めてちゃ、恋愛なんてできないわよぅ?」

言いながら、裾を割って太股にホルスターを取り付ける藍に、与一は思い切りうんざりした目を向けた。
言うこととやることのギャップが、ありすぎるのだ。

「俺には、藍さんがいるからいいんです」

やけくそ気味に言い捨て、ぷいっと階段を下りる与一に、後ろから藍が飛びついた。

「あっ危ないじゃないですか!」

「うふふ~っ。よいっちゃんが、そう言ってくれるなんて~。嬉しいわぁ~」

うんざりしつつ、背中に藍を貼り付けたまま、与一は階段を下りた。
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