RUN&GUN
男が、僅かに顔を動かした。
与一のほうを向き、僅かに口角を上げる。

「・・・・・・」

与一は目を逸らすことができず、黙って男の視線を受け止めた。

実際はこちらを見たわけではないのかもしれないが、与一には編み笠の奥の目が見えるような、生々しい視線が感じられた。

「なかなかの手練れだわね」

小さい声に呪縛を解かれ、与一はやっと男から視線を離した。
視線を落とすと、隣で藍も、例の男を見ていた。
藍も、今は笠を被っている。

気を落ち着けて集中すると、気になる視線がいくつか引っかかる。

と、ぽんと藍に腰を叩かれた。

「御珠を狙う輩がいるってのは、わかってたことじゃない。気にしない、気にしない」
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