RUN&GUN
「よいっちゃんも、大人になったわねぇ~」

お猪口を受け取り、一気に飲み干す与一を眺め、藍が感慨深げに言った。

「俺に酒を教えたのは、お嬢さんじゃないですか」

つまみの豆を口に放り込んで言う与一に、藍は酒の匂いをくんくんと嗅ぎながら、顔をしかめる。

「よいっちゃんは、男だもの。酒の一つも飲めないとね」

にゃあ、と眉間に皺を寄せて舌を出し、酒を置く。
酒の匂いは、苦手のようだ。

「お待ちどぉ」

稲荷寿司を差し出され、藍の顔がぱっと輝く。

「うわぁい。ありがとう」

皿を受け取り、嬉しそうに一つ頬張る。

「そんなに美味そうに食ってくれると、こっちも嬉しいねぇ」

屋台の親父がにこにこと、稲荷を頬張る藍を見て言った。
< 126 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop