RUN&GUN
不自然でない程度の速さで西の市に入ると、一つ目の路地に入り、入った途端、一気に速度を最速にまで上げる。

一瞬で、二人の姿は路地から消えた。

下駄屋に程近い路地まで来、ようやく藍は、速度を落とした。

「こんなもんかしらね」

「藍さんは、何か感じてたんですか?」

ふぅ、と息をつきながら、与一が問う。

小物街は、市の中でも京処の外寄りにある。
さらに下駄屋は、小物街の中央ら辺に位置しているため、結構な距離を走ったことになる。

が、藍の息に乱れはない。

「特に感じなかったけどね。用心したほうが、いいと思ったの」

路地から顔を出し、きょろきょろと辺りを見渡してから、藍が通りに出た。

そのまま、下駄屋の裏手に近づく。
当然すでにどの店も閉まっているため、通りも人っ子一人いない。
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