RUN&GUN
ぎょっとして振り向いた与一は、そこに立つ三郎太に目を剥いた。

「どうしたぁ。よく会うなぁ」

笑いながら大股で近づいた三郎太は、豪快にばしばしと与一の肩を叩いた。
傷に響く。

「さ、三郎太・・・・・・。何だ、お前もまた下駄の注文か?」

さりげなく三郎太の手から逃れ、与一は奉公人をちらりと見た。
腰を浮かしかけていた奉公人は、どうしたものかと迷っているようだ。

「頼むよ」

与一が言うと、奉公人は頷き、三郎太に愛想笑いを投げて奥に消えた。

「お前もここで、下駄作ってもらってんのかい」

言いながら与一の横に腰を下ろした三郎太は、大きな包みを抱えている。

「うん、まあ。ここの下駄は良いって言うから、作ってもらおうと思って入ったら、たまたま辰巳が見てくれてよ。お前も腕は良いって言ってたから、辰巳に頼んだんだ」
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