RUN&GUN
「へ? ぶらっと入って、辰巳が見たのか?」

驚いたように言った後、三郎太は、にやりと笑って声を潜めた。

「ははぁ。だから言ったろ。気ぃつけろって」

「馬鹿。そんなんじゃねぇよ」

顔をしかめる与一に、三郎太は神妙に首を振る。

「お前が気づいてないだけだ。だからこそ、危険なんだよ。いいか、辰巳ってのぁ、普通だったら一月も二月も前に申し込んでおかないと、奴には作ってもらえないぐらい人気なんだよ。それを、辰巳自ら声をかけてきて、すぐに作ってくれるたぁ、下心があるに決まってるだろ」

「そ、そんなことは・・・・・・」

ない、とは言い切れない。
すぐに作ってもらえたのはともかく、それまでの足を撫で回したり、必要以上にくっついて首筋に息を吹きかけたりする態度は、下心以外の何物でもない。

「ほら。身に覚えがあるだろ。ったく、お前は人を惹きつけるくせして、無防備だからな。うかうかしてると、まじでやられるぜ」

「やめてくれ。そこまで気づかないほど、馬鹿じゃねぇよ」
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