RUN&GUN
そのとき、廊下を先程の奉公人が駆け戻ってきた。

「お待たせしました。すぐにこちらに来るそうです」

「ああ、そう・・・・・・」

目論見通りとはいえ、この会話の後では、素直に喜べない。
曖昧に返事をする与一の横に視線を滑らした奉公人は、三郎太に頭を下げた。

「これは、千秋屋さん」

「やぁ。いつも世話になってるから、ちょいとご挨拶にね。辰巳さんは、どうしたぃ?」

三郎太が、明るく奉公人に包みを示して言った。

「あ、辰巳ならすぐに来ますが。あの、千秋屋さんと、こちらのお客様は、お知り合いで?」

奉公人が、与一と三郎太を見比べながら言う。

「ああ。古い友人だ。同じ辰巳さんに、用事のようだな」

「そうだったんですか。千秋屋さんのお知り合いなら、ご一緒に奥にお通しすれば良かったですね」
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