RUN&GUN
「たとえば、どんなもんだい?」

辰巳が与一の言葉にのった。
さすがに‘御珠のことか’とは言わない。
当然だよな、と思いつつ、与一は御珠の情報を引き出す手だてを巡らした。

「一つだけ願いを叶えてくれるっつぅ神様なら、結構いろんなところにあるぜ。それこそ色恋となりゃ、そこらにある」

「神社かよ。そんなん、新年によっくお願いしてらぁ」

「辰巳さんは、何か知らねぇかい?」

黙って与一と三郎太のやりとりを聞いている辰巳にふってみる。
辰巳は少し口角を上げただけで、何も言わない。

「けどま、そんなもん持ってたら、それこそ怖い輩(やから)に狙われらぁな」

話を打ち切るように言いながら、与一は最後の一石を投じた。
そこで初めて、辰巳が口を開く。

「そうさな。それがガセでも、てめぇで試してみないと気が済まねぇって奴は、多いからな。何故かそういうものを手に入れたっていう情報が漏れるのは、早いもんだぜ」

辰巳の言葉が、与一の感覚に触れた。
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