RUN&GUN
「やばいことって、何だよ。三郎太、何をそんなに心配してるんだ?」

あえて落ち着いた声で言い、三郎太の顔を覗き込む。

「お前、もしかして、陰間稼業の旦那に引き取られたんじゃないのか?」

真剣な表情のまま、驚くべきことを言う三郎太に、与一は今度は、遠慮無く目を見開いて驚いた。

「はあぁっ? お、お前、俺が陰間だと思っているのか?」

だとしたら、非常に心外である。

与一の驚きように、三郎太は少し安心したように笑った。

「いや、違うならそれにこしたことはねぇ。何か、やたら辰巳と親しそうだったし、あれだけ奴は危険だって言ってんのに、警戒心なく笑顔を向けるもんだから、もしかして、と思ってしまったんだよ」

「馬鹿言え。確かにお前の忠告は、ちょっと忘れていたがな。辰巳はお前の言うとおり、素晴らしい腕だからな。その点は、認めてるんだ。お前も辰巳に下駄作ってもらってんなら、奴の腕は、十分認めてるんだろ」
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