RUN&GUN
「・・・・・・何でも屋みたいなもんだよ。お前のとこみたいに、でかい商売じゃねぇけど、ま、それなりに儲かってる。主(あるじ)もいい人だしな」

主とは藍のことなのだが、だからこそ与一は笑ってしまった。
与一を引き取ったのも、育てたのも確かに藍だが、あの子供っぽい美少女に、‘主’という呼び方は似合わない。

三郎太は相変わらず納得しかねる表情をしていたが、やがて諦めたように、一つ頷いた。

「ま、お前が今の生活に不満がないなら、それでいいさ。元々貧しい暮らしだったから、俺らにゃ人並みの暮らしができりゃ、それで十分って気持ちがあるしな。千秋屋ほどの大店で元から育ってりゃ、次から次へと欲が湧くようだがなぁ」

ふぅ、と三郎太が、視線を落としてため息をついた。

「お嬢さんも、よく何が欲しいだの、どこに行きたいだの、言ってるぜ。そういや、さっき辰巳と言ってた、願いが叶う何とかとか・・・・・・。お嬢さんも、そういうのに興味があるみたいだな。何かそういうもんが、あるとか言ってたな。あれ? それって下駄屋からの情報じゃ・・・・・・」
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