RUN&GUN

首を捻る三郎太に、与一は食い付いた。

「何だ？　それ。何でそんな情報が下駄屋から？　下駄屋って、辰巳の店のことか？」

「ああ。うちのお嬢さんと下駄屋の奥方は、友達だって言ったろ。それ繋がりだろ。確か、そういうもんが、下駄屋にあるとか、お嬢さんが言ってたような」

「はぁん。女子（おなご）の好きそうな話だな。そんなもんがあるのが下駄屋ってのが、嘘くさいぜ」

あえて興味のない風に、鼻で笑う。
そうだ、千秋屋のお嬢さんに近づくという手もある。

「まぁな。あるのが下駄屋ってのが、確かに嘘くさいというか、かえって真実味があるっていうか」

三郎太も、信じてない風に応じる。
辰巳のところでの会話からしても、三郎太は、そういう話を信じないたちなのだろう。