RUN&GUN
「けど、そういうのが本当にあるなら、是非とも見てみてぇもんだ。今度辰巳のところに行ったら、見せてもらおうかね。お前も見たことは、ないんだろ? どんなもんなんだろうな」

あくまで軽いノリで、与一は引き出せるだけの情報を引き出す努力をする。
三郎太も、相変わらず興味なさそうに、でも記憶を探りながら、情報を提供する。

「何て言ってたかな。それさえありゃ、月輪院様のお力も我が物にできるとか? 両手で掴めるぐらいのくせに、やたら重いとか」

「月輪院様? て、京処の北の、北御所か」

北御所とは、その名の通り、京処の北に位置する皇族の住まいである。
現在そこにお住まいなのは、出家し、月輪院と称する皇族の一族に連なるお方だ。
皇族とはいえ、遠縁にあたり、今は北御所様と呼ばれ、ひっそりと、しかし優雅な暮らしをしている。
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