RUN&GUN
「何でそんなお人が、関係するんだ?」

何だか話がとんでもない方向へ行っている気がして、与一は首を傾げた。

「下駄屋の奥方は、お姫様だって言ったろ。月輪院様の親戚筋らしい。詳しいことは、よくわからんが」

ということは、御珠を使えば北御所様を意のままにできるということか。
でも、皇族とはいっても、遠縁にあたる者など、さほど力もないはずだが。

「あからさまな政治介入はできなくても、全くできないわけじゃない。財も唸るほどあるし、北御所に気に入られれば、結構な見返りはあるってことか」

「千秋屋にだって、それなりの財はあろうに、生まれたときから良い暮らしをしてると、それだけじゃ足りねぇんだな」

嘆息する三郎太に、与一は軽く背中を叩いて笑いかけた。

「でもお前は、そのお嬢さんが好きなんだろ。矛盾してるよなぁ」

「そうだな。うまくいっても、苦労するとは思うんだけどな。・・・・・・可愛いんだ」

赤くなって後頭部を掻く三郎太は、やはり与一の目には、異世界の住人のように見えた。
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