RUN&GUN
いつもの飯屋の前で見つけた屋台で、与一が稲荷寿司を一包み買い、ぶらぶらとその辺を流していると、いつの間にか藍が横に並んで歩いている。

与一は前を向いたまま、ごく自然に口を開いた。

「なかなか収穫がありましたよ。・・・・・・戻りますか?」

「そうね~・・・・・・。よいっちゃんの体調も、心配だしね」

藍も前を向いたまま、与一の手に自分の手を絡めた。
与一の手を握ったまま、ひょいと顔を上げると、市の出口とは反対のほうへ歩き出す。

「どこに行くんです?」

「食い物街。早めに帰れるときは、きちんとしたご飯を食べないと」

そう言って、与一と共に小物街から食い物街に入った藍は、野菜や調味料のほかに、珍しく肉を買った。
生もの類は、すぐに痛んでしまうことと、もともと肉は珍しい上、そもそも藍が肉など食べないため、与一も滅多に食べない。
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