RUN&GUN
「珍しいですね」

藍の小さな手に持たれているせいか、異様に大きく見える肉の塊を見、与一は言った。
肉など、見るのも久しぶりだ。

「よいっちゃんは、お肉好き?」

「好きですよ」

というより、嫌いなものがないのだが。
が、藍のように特別好きなものがあるわけでもない。

何か、俺は人に関しても食い物に関しても無関心なんだなぁと思い、与一はひっそりと息をついた。

「あら。じゃあ、あたしが食べないからってお肉を買わないのは、可哀相かしら」

「別に、そこまで食いたいとも思ってませんよ。いつもの飯も、十分美味いですから」

肉を風呂敷に包んでいた藍は、与一を見上げると、にっこりと嬉しそうに笑った。
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