RUN&GUN
与一はいきなり身を沈めると、地を蹴って相手の懐に飛び込んだ。
「その手には乗るかぁっ!」
男が叫び、素早く組んだ両手を、与一の頭に振り下ろす。
与一は咄嗟に、さらに深く身を沈め、反動を利用して左足を男の顔目掛けて真上に蹴り上げた。
「くっ」
男が慌てて横向きに倒れ込みながら避ける。
与一の足が、男の編み笠を飛ばした。
「ったく、どうせ笠飛ばされんだから、そんなもん初めっから被ってんなよ」
頬の血を親指で乱暴に拭い、与一は吐き捨てるように言った。
男は憎々しげに与一を睨み、ゆらりと立ち上がる。
曝された顔は、確かに一昨日の夜、与一の脇腹を裂いた陰間だ。
「あのとき、確かに苦無で突いたはずなのに・・・・・・」
「ふん。残念だったな。俺ぁ、そんなにヤワじゃねぇんだよ」
実際は結構な傷を負ったのだが、与一は鼻で笑った。
見ると、男の喉には痣が広がっている。
一昨日与一につけられた傷だ。
先程もそこを狙ったのだが、さすがに同じ手を許すほどの相手ではなかった。
「その手には乗るかぁっ!」
男が叫び、素早く組んだ両手を、与一の頭に振り下ろす。
与一は咄嗟に、さらに深く身を沈め、反動を利用して左足を男の顔目掛けて真上に蹴り上げた。
「くっ」
男が慌てて横向きに倒れ込みながら避ける。
与一の足が、男の編み笠を飛ばした。
「ったく、どうせ笠飛ばされんだから、そんなもん初めっから被ってんなよ」
頬の血を親指で乱暴に拭い、与一は吐き捨てるように言った。
男は憎々しげに与一を睨み、ゆらりと立ち上がる。
曝された顔は、確かに一昨日の夜、与一の脇腹を裂いた陰間だ。
「あのとき、確かに苦無で突いたはずなのに・・・・・・」
「ふん。残念だったな。俺ぁ、そんなにヤワじゃねぇんだよ」
実際は結構な傷を負ったのだが、与一は鼻で笑った。
見ると、男の喉には痣が広がっている。
一昨日与一につけられた傷だ。
先程もそこを狙ったのだが、さすがに同じ手を許すほどの相手ではなかった。