RUN&GUN
「御珠って何だい? あんたら、何者なんだ」

「うう・・・・・・。そ、そんなこと、お前にゃ関係ねぇだろう」

紐で首を絞められて、思うように息のできない男が、喘ぐように言う。

「関係ねぇことで狙われちゃ、わりにあわねぇな」

与一は紐を持つ手に力を入れた。
男の顔が、さらに歪む。

---もぅ。よいっちゃんたら、あたしの存在、忘れてるんじゃないの。冷静なふりして、案外激情家なんだから---

藍はぶつぶつ思いながら、頭上を見上げた。
葉っぱで見えないが、首に巻き付く糸を操っている者が隠れているに違いない。

---そろそろあたしも何とかしないと、この調子じゃ、糸引っ張られちゃうわ。足が浮いちゃったら、ちょっと厄介だし---

でもまだ、あまり自分の腕は披露したくないなぁ、と思いながらも、藍は首元の糸を掴んでいた手を離すと、音無くとん、と地を蹴ると同時に、頭上に伸びた糸を掴んで、空中で逆立ち状態になり、全体重を糸を掴んでいる手に乗せた。

藍の体重全部で、糸を引っ張るかたちになる。
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