RUN&GUN

与一はちらり、とそれを見ただけで、自分の下の男に視線を戻すと、手を緩めることなく言った。

「そういうわけなんで、時間が無い。さっさと言いな」

与一の下の男も、藍を掴んでいる鼻血男も、驚愕に目を見開く。

「きっ聞こえねぇのか！　こらぁっ」

鼻血男が喚き、苦無で藍を突く真似をした。
が、与一は男を見もしない。

「できねぇとでも思ってんのかっ？」

激怒した鼻血男が、やけくそ気味に苦無を持った手を振りかぶり、そのまま藍に突き刺そうとする。

「何すんのよっ！　この乱暴者～っ！！」

藍の叫びと共に、掴まれていないほうの足が、間近に迫った男の手に打ち込まれた。
苦無を刺そうと勢いをつけていたため、反対方向から叩き込まれた藍の反撃による衝撃は倍加し、骨の砕ける音が響いた。

「･･････っっ！」

さらに藍は、空中で素早く身体を折ると、手を伸ばして男の折れた手首を握った。

「ぎゃあぁぁっ！」