RUN&GUN
「おじさぁん。さっさと言っちゃいなさいよ。御珠って何なの?」

実際はおじさんというほどの歳ではないのだろうが、藍の基準は基本的に与一なのだ。

言いながら、藍が男の頭の横に座り込み、上から覗き込む。
その途端、男はいきなり腕を振り上げ、藍の目を狙った。

が、藍がすっと顎を反らせて避けたため、男の手は藍の頬を掠っただけで、反対側に落ちる。

「あっ! 痛っ」

藍が呟き、己の頬に手を当てる。
与一は男の手に目をやった。
握った拳の中に、僅かに見える寸鉄。

藍に視線を転ずると、白い頬に、一筋の赤い線が入っていた。

「ってめぇ・・・・・・」

藍の頬に傷をつけた男の行為が、与一の逆鱗に触れたようだ。
低い呟きと共に、与一は頭上に掲げた小太刀を、思い切り男の手の平に突き刺した。

「っぎゃああぁぁぁ!!」

握っていた寸鉄ごと小太刀を叩き付けられたので、小太刀だけでなく寸鉄までが、手の平に突き刺さる。
しかも本来刺すべき方向に刺さっていないので、小太刀の傷より寸鉄による傷のほうが、酷いだろう。
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