RUN&GUN
第十章
一刻ほど走り続けて、二人は色町とは逆のほうへ林を抜け、さらに市を通り越して見つけた一軒の宿屋に入った。
「連れ込み宿のようですね」
色町のような、妖しい色の行灯。
入るなり目に飛び込んでくる、大きめに作られた一組の布団に据えられた、二組の枕。
どうりで、宿のわりには人が少ないと思ったわけだ。
「別にいいじゃない。あたしはお布団、一つのほうがいいし」
にこりと笑う藍に、与一の目はいつものように胡乱になる。
これでは嫌でも、藍と寝なければならない。
「あちらさんは、なかなか物騒な組織のようね。口を割りそうになったら、とっとと殺しちゃうなんて」
帯解いて、と言いながら、与一の前でくるりと後ろを向く藍は、先の男目掛けて飛んできた苦無のことを考えながら言った。
「しかも、全く気配を感じなかったわ。もしかしたら、土左衛門の下手人も、あいつかも」
「陰間じゃないってことですか」
「連れ込み宿のようですね」
色町のような、妖しい色の行灯。
入るなり目に飛び込んでくる、大きめに作られた一組の布団に据えられた、二組の枕。
どうりで、宿のわりには人が少ないと思ったわけだ。
「別にいいじゃない。あたしはお布団、一つのほうがいいし」
にこりと笑う藍に、与一の目はいつものように胡乱になる。
これでは嫌でも、藍と寝なければならない。
「あちらさんは、なかなか物騒な組織のようね。口を割りそうになったら、とっとと殺しちゃうなんて」
帯解いて、と言いながら、与一の前でくるりと後ろを向く藍は、先の男目掛けて飛んできた苦無のことを考えながら言った。
「しかも、全く気配を感じなかったわ。もしかしたら、土左衛門の下手人も、あいつかも」
「陰間じゃないってことですか」