RUN&GUN
そうこうしているうちに、千秋屋が見えてきた。
日はまだ昇りきっていないが、何人かの奉公人が、出たり入ったりしている。
藍は素早く辺りを見渡すと、お蓉の手を引いて路地に身を隠した。
路地を伝って千秋屋の裏まで行くと、店の裏の通りを挟んで、川が流れているのが見えた。
藍は通りを横切って土手を下り、川縁でお蓉の手を離すと、躊躇いなく水に足を突っ込む。
「あ、彩さんっ。何を・・・・・・」
慌てて藍の手を掴むお蓉に、藍は小声で耳打ちした。
「いいところがあるじゃない。ここであたしを見つけたことにすれば、他の人たちがしばらく気づかないことも、おかしくないわ」
はっとしたお蓉が藍を見返したとき、土手の上で叫び声が上がった。
「お、お嬢様っ! どうなさいました?」
お蓉が振り向くと、まだ少年の奉公人が、慌てて土手を下りてくるところだった。
「朔太郎(さくたろう)・・・・・・。ちょ、ちょっと手伝って!」
朔太郎と呼ばれた少年は、転びそうになりながらお蓉に駆け寄ると、彼女にすでに抱きかかえられるようにしている藍を見た。
日はまだ昇りきっていないが、何人かの奉公人が、出たり入ったりしている。
藍は素早く辺りを見渡すと、お蓉の手を引いて路地に身を隠した。
路地を伝って千秋屋の裏まで行くと、店の裏の通りを挟んで、川が流れているのが見えた。
藍は通りを横切って土手を下り、川縁でお蓉の手を離すと、躊躇いなく水に足を突っ込む。
「あ、彩さんっ。何を・・・・・・」
慌てて藍の手を掴むお蓉に、藍は小声で耳打ちした。
「いいところがあるじゃない。ここであたしを見つけたことにすれば、他の人たちがしばらく気づかないことも、おかしくないわ」
はっとしたお蓉が藍を見返したとき、土手の上で叫び声が上がった。
「お、お嬢様っ! どうなさいました?」
お蓉が振り向くと、まだ少年の奉公人が、慌てて土手を下りてくるところだった。
「朔太郎(さくたろう)・・・・・・。ちょ、ちょっと手伝って!」
朔太郎と呼ばれた少年は、転びそうになりながらお蓉に駆け寄ると、彼女にすでに抱きかかえられるようにしている藍を見た。