RUN&GUN
藍は、与一の言葉に箸を置くと、にこにこしながら、懐から巾着を取り出した。
藍の手に余るほどの巾着袋は、重そうに膨らんでいる。

「これは一部なの。甕の中に、まだあるわ。から公も、まだ全部持って来れてないみたい。重かったから、お土産が少なかったのね」

「結構な財ですね。的も、大物なんですか?」

最後の漬け物を口に放り込み、麦飯を平らげた与一が言ったとき、窓の外に、羽音が聞こえた。

「あ、から公だわ。ご苦労様~」

言いながら立ち上がり、藍は窓に駆け寄って、障子を開ける。
途端に大きな黒い塊が、部屋の中に飛び込んだ。

ちょん、と床に降り立った鴉は、嘴に大きな袋をくわえている。
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