RUN&GUN
「俺の半分も食べてないじゃないですか。大きくなれませんよ」

「まぁっ。生意気ねぇ」

振り向き、大げさに驚いてみせる藍は、確かにほとんど食事を摂っていないとは思えないほど、血色が良く、肌も艶やかだ。

「あたしの食事は、よいっちゃんの生気なの」

ふふふと笑う藍の言葉は、普通に聞いたら冗談でしかないが、この壮絶なまでの美少女が言うと、洒落にならない。
何せ、歳を取らないのだから。

「じゃ、そのうち俺は、藍さんに生気を吸い尽くされて、死ぬわけですか」

「うふふ。いいじゃない。あたしに殺されるなら、本望でしょう?」

与一は目の前で妖しく光る藍の瞳を見つめ、少し考えた。

「もぅ、そんなに真剣に考えないでよ。大好きなよいっちゃんを、あたしが殺すわけないでしょう~」

全く、どこまでが本当なんだか。

与一は己に抱きついて、猫のようにじゃれる藍を見下ろし、ため息をついた。
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