RUN&GUN
色々な店の建ち並ぶ、西の市という界隈を、二人は歩いている。

この辺りは、大店(おおだな)から小さな職人の店まで、ありとあらゆる店が集まっている。
大きな市の中で、扱っているものによって、それぞれ‘反物街’‘食い物街’などと地区が分かれている。

二人がいるのは‘小物街’。
ここでいう小物とは、簪や帯留め、下駄や根付けなどの、いわゆる身につける装飾品や、生活小物といったものだ。

藍は一軒の大店で、簪に興味津々だ。

「お嬢様のようなお美しいかたには、こちらぐらい華やかなものでも、お似合いでありますよ」

「え~、そうかしらぁ。ちょっと派手すぎよぅ」

大きな牡丹の細工がなされた、美しい簪を合わせながら、藍は店の主人と談笑する。
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