RUN&GUN
「お嬢様は、お若いのに、このように地味なお着物をお召しなのは、もったいないですよ。いえ、もちろんお歳に似合わず、立派に着こなされておりますが、娘盛りでありますれば、もっとこう、お着物も華やかなものをお召しになれば、お嬢様の美しさも、より引き立つというもの・・・・・・」

黒地に金糸・銀糸で一面に小花を散らした着物の藍に、店の主人が不思議そうに言う。

「えへへ。いいのよぅ。あたしは、黒が好きなの。粋でしょう?」

笑いながら、藍は棚にある藤の細工の簪を手に取った。

「うわぁ~、綺麗ねぇ」

目の前に翳して見ながら、藍の手は、簪の足の部分を指先でつまんで、感触を確かめている。
武器として使えるかを見ているのだ。
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