RUN&GUN
言いながら、藍は懐紙に、携帯している筆でさらさらと、たまの言うように、御珠はお福に渡ったことを書き、一応お福を殺してまでも、御珠を手に入れたいのなら、再度連絡をくれれば動くということを書いておく。
これでおそらく、お琴は驚いて、動きを止めるだろう。

万が一、お琴がお福の殺害を望んだって、そのときは殺し屋として、お福を葬ることに、躊躇いはない。
元々、お福という人物のことは、いまだに知らないのだ。

藍は手紙を書き終えると、口笛を吹き、から公を呼んだ。

「これを、六条屋敷に届けてきてね」

から公は手紙を咥えると、すぐにばさ、と飛び立った。

「とりあえずこれで、今回の件は終了ね。何か、大層な犠牲のわりには、しょぼい結果だったわね・・・・・・。いや、神様絡みなんだから、ある意味、結構な事件だったのかしら」

「そうだな。妙な依頼なだけに、同じような闇稼業の者が鉢合わせてしまったわけだし」

のんびり言う風弥に、藍は自分の膝の上の、与一に目を落とした。
首の傷の出血は、藍の血止め薬でようやく止まったようだ。
が、意識のない与一の顔は真っ青で、指先などは、氷のように冷たい。

「こんなくだらない仕事で、よいっちゃんを失ったら、六条の宮様を恨んでしまいそうだわ」

ぽつりと呟いた藍に、風弥が眉根を寄せる。
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