未来設計
「失礼します」
と会議室のドアを開けた瞬間。
お酒の匂いがプーンとした。

今まで呑んでいたのだろう…
顔も真っ赤だった。


「先生。涼子が…」
酒臭い息を吐きながら。
佐々木の父親は話した。


佐々木の父親はここ2〜3日。
いろいろな所を飲み歩いて家に帰らなかった。


そして。
今日の朝、6時過ぎに家に帰ると涼子がいない。

家中を探し回って。
キッチンのテーブルの上に置いてある手紙に目がいった。

手紙には。
『お父さん。私は今から愛する人と一緒に生きていきます。さようなら』
と書いてあった。

そして。
もう1枚…
それは…宿題に出した未来設計の紙。

紙は白紙ではなく。
繊細に自分の未来が書いてあり、
『12月…出産』
とまで書いてあった。

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