スノードロップ
その時後ろから足音
がする


ピチャッ ピチャッ


――!?――


振り返るとびしょ濡れ
になりながら歩いてる
周が見えた


「ちょっちょと!ずぶ
濡れじゃん!大丈夫?」


心配で思わず声を
かけた


「ん?おー希望か。何
してんの?」


まるで雨に濡れて
なんかいないような
感じで話す 周


「なっ何ってあんたこそ
傘もささないで
何してんのよー」


思わず持っていた傘を
周の頭上に持っていく


「傘って荷物になん
じゃん?だからいつも
持ってこねーの俺」


「だからって走る位する
でしょ普通?!バカ
でしょ!あんた!!」


ノンキに話す周に
呆れた声で返した


「これぐれーで何とも
ねーしっ!大げさ!
ハハッ」



…子供みたいな笑顔…


かわいいなって思って
しまうー…



「ってかここから家
近いの?」

私が尋ねる


「土手道越えて少し
歩いたとこ」


「なら私の傘使いなよ
私ここからすぐだし
平気だから!はいっ!」

そう言い持っていた傘
を差し出した



「いやっいいって!
俺もそんな遠くねー
から大丈夫だって!
サンキュー」


「何がサンキューよ!バカ!
いーから!はいっ!!」

無理やり周の手を
掴み傘を握らせた


「バカバカってピーピー
吠えるよなっお前
ハハッ」


「なっなによ…
じゃっじゃーね!!」


「傘サンキューな!気を
つけて帰れよっ」


「うん。じゃぁ!」


周に傘を渡して走って
家に向かう




池上さんのことを
知った日からどんどん
距離があいていく
感じ―



わざとそっけない態度
をとったり……



近づいちゃいけない―





――そんな気がした…




私の命はあと6ヶ月…

こうなることを望んだ
のにどこかで後悔して
いる自分がいる


何も知らなかった
あの頃とは
また違う感情があって


近づけば近づく程
欲が出てきて…
知らなくても良い
こともある



始めはこの姿になって
少しでも近くで側に
いれたら…

ただ…


それだけだった



――今は…――





離れたくない……



そんな気持ちを胸に
抱えたまま
残された時間
私はどうすれば
いいんだろう―…
< 14 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop