スノードロップ
「変なやつ!!ハハッ」


そんな笑顔で笑わ
ないで


私は―…



彼に何を求めてこの
姿になったのかな


彼女になりたい…

そういう訳でもなくて

ただ……



気づいて欲しかった


ここに私がいるって
こと―…



あなたに気づいて
欲しくて…


短い時間の中で私が
出来ること―


あの時私にハンカチを
かけて雨に濡れない
ように守ってくれた…


今度は私があなたを
守ってあげたい…



側にいて支えて
あげたい



そういう気持ち
だけなら



想ってても―…




…いいですか?




その日の放課後
グランドを元気よく
走り回る知を教室から
眺めていた



「がんばれぇー!!」


声を張り上げて
叫んだ私に満面の
笑みでピースをして
見せる 知



楽しそうだなぁー

部活やってみたいけど
体がついていかなさ
そう…



教室から見える景色は
とても新鮮で
何もかも忘れさせて
くれる気持ちになる


放課後のこの時間が
一番好き

夕日のグラデーションが
良い具合に校舎を
照らして
また違う雰囲気を
見せてくれる



―綺麗だなぁ―…



「また1人で
残ってんの?」


男の人の声に
振り返ると
尚人が笑顔で
立っていた



「尚人ぉ~」


気が抜けた声で
答えた



尚人は私がこの
学校に来た時から
何するにしても
気にかけてきてくれて

勉強だとかクラスの
子達について教えて
くれたり

教室の場所とか
学校について
いつも嫌な顔一つ
しないで教えてくれた


そんな尚人は私に
とって知や由佳莉達
と同じように大切な
仲間の1人に
なっていた


柔らかな表情で私が
立っている窓側へ来て
隣に並ぶ


「ここからさぁー
こんなじっくり眺めた
ことなかったけど
なんかいいよな!
たまにはこういうの!」


「そうそう。時間とか
忘れそぉー」


「だなっ!ハハッ」


そんな会話をして
いるとグランドを歩く
2人の姿

周と―…
池上さんが見えた

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