スノードロップ
その時遠くから足音が
聞こえた


足音の先へ視線をおくる


走ってこちらに向かって
くる一人の人影



「ごめん!待った?」


息をきらしながら
周を見つめる女性



池上さんだ―…



呼び出した相手は
やっぱり池上さんか…



「あっ!周の友達の
白木さん?家この辺
なの?」


「あっうん…」



細くて髪が長く
肌も透き通るような白さ


かわいいというよりは

綺麗な女性…―



周の理想のタイプは
こういう綺麗な女性
なんだろうな…



「あーえーっとぉ!!私は
そろそろこの辺で!!」


「……。気をつけてなっ」


「うっうん。じゃぁ!!」



私は池上さんに軽く
挨拶し

振り返らずその場所を
立ち去った



家まであと少しの所で
足がとまる



どうしよう………





涙が止まらない……



胸の痛みがどんどん
強くなっていく



どうしてこんなことで
涙がでるの?



これは……


私が望んだ道…



だから負けちゃいけない




周を好きなら…


本当に好きなら…



私は彼を見守らなきゃ
いけないのに



涙が……


止まらない……





涙で潤んだ瞳からは


緑色に輝く


ホタルの光だけが



にじんで見えた
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