スノードロップ
優しいね……



「自転車だったら
暑くない?」


「そりゃ、こいでたら
暑いけど歩くより
100倍マシッ!!」


「ハハッ!そーだねっ」


「後ろ乗んなよ!学校まで
今なら無料で送ってって
やるぞっ!!」


そう言い後ろの席を
ポンポンと手で
たたいてみせた


「なにそれー!!今じゃ
なかったらお金
とるの~?」


「おぅ!言っとくけど
帰りは有料だかん
なっ!」


ニヤッと笑いながら
話す尚人



今は………

尚人の優しさに
甘えてみようかな…


「じゃぁ運転手さん
学校までヨロシクー!!」


そう言い私は尚人の
後ろにまたがって座った


「へぇーい!まかせな!!」


元気な口調で自転車の
ペダルに足を乗せて
こいでいく


私は尚人の大きな背中に
少しもたれながら
尚人の服をしっかり
握りしめていた


土手道から学校へ
繋がる坂道を
一気に下っていく



風が気持ちいいー…


こんなささいな事でも
人間でいられる
今の私にとっては
すごく幸せに思えた


尚人………

私がいなくなったら
どう思うのかな…


きっとみんなを
傷つけることになる

寂しい思いをさせて
しまう―…


それも全て
分かってるから…


だから一緒に
いられる今は

たくさんの愛を
みんなに送りたい




学校が見えてきた
辺りには
眠たそうな顔をした
学生達が
次々と門をまたいで
いく


尚人と私が門を
くぐった所で
周の姿が見えた


―ドキッ!!



「よぅ!なんだよっ
まだ眠そうだなっ!」

自転車の足を止め
周の肩に手を置く尚人


周はチラッと私を見て
すぐに視線を尚人へ
向ける


「おー。まだ起きたばっか
だしなっ」


「いつまでたっても
お寝ぼーちゃんだなー
お前はっ!!」

からかうように周の頭を
ポンポンと軽く
たたく尚人


「おめぇーが朝から
元気すぎんだよっ!」

うっとうしそうに尚人の
手を払いのけながら
話す周

そして周の視線が
私に向く
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