スノードロップ
下校のチャイムとともに
皆それぞれが別れの
挨拶をして帰っていく


私は周に謝る為
カバンを持ち
帰ろうとする周に
声をかけた


「あっ!まっ周!!」

緊張していたせいか
声が少し震えている


「ん?なに?」

何だかいつもより
優しい目をしてる


「あっのー…。 今日もし
予定なかったら
一緒に帰って
欲しいんだけど…
予定ある?」


「お前から誘うなんて
珍しいなっ。
何かオレに話しあんの?」

私の目をまっすぐ見て
答える周



ドキッ!!



「まっまぁ…」


まともに目を合わせて
いなかったせいか
真剣な眼差しで
見られると急に胸の
鼓動が高鳴りだした


「わかった!じゃぁ、
ちょっとここで
待ってて」

そう言うと周は教室から
出ていった



「はぁーーーー…」


私は大きなため息を
ついて机の上に腰かけた



何でこんなに緊張
するんだろう…


クラスのみんなは
もうとっくに教室から
いなくなっている



放課後の教室に
1人で残るのは
何度もあったけど

今日はいつもと
違っていた

静まり返った教室に
私の胸の鼓動だけが
響いていた―



しばらくすると
こちらに向かって
走ってくる足音が
聞こえた


私は机から腰を上げ
扉の方に向かって
歩いていく



勢いよく走ってきた
人は周…





ではなく
池上さんだった―…

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