スノードロップ
「ねぇーもうちょっと
ゆっくり歩いてよ」


小走りで私が言う


「なんで?」


「なっなんでって…
早いから…」


「これが普通。足の長さの
違いだなっ」


「わっ悪かったわねー
短くて!!もういい!」



普段の周はあまり
優しくない
二人でいる時はいつも
優しいのに…


「ほら、そうやって
すぐ怒る。そんなんだと
モテねーぞっ」


「いっいいもん、別にっ!」


そう言いながらでも
歩幅を私に合わせて
くれる周



やっぱり優しいね―…


何だかんだ言い
ながらでも
こうやって着いてきて
くれた



学校の中でも先輩や後輩
同学年の女子からも
人気がある周


こんなキレイなルックスに
この優しさだもん
人気があって当然だよね



そんな周を独り占め
できてた池上さんは
幸せだったはずなのに


どうして別れたん
だろう―…



池上さんと別れてから
周は誰とも付き合って
いないみたいだけど


それはまだ池上さんを
忘れていないからじゃ
ないのかな…


池上さんも周を好き
みたいだったし―…



周は―……
どう思っているのかな


池上さんのこと―…



そんなこと聞ける
勇気もなく
タンクトップ姿でズボンの
ポケットに手を入れ
歩いている周を
横目で見上げながら


隣に並んで歩くことしか
できない私がいた―

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