スノードロップ
「去年の夏…ちょうど
今頃かなぁー。
交通事故だったのぉ…」


涙を流しながら
必死に伝える由佳莉



ダメだ―……


私まで泣きそうだよ…



「私との待ち合わせ
場所に来なくて…
ずっと電話しても
繋がらなかった…」


「うん……」


「彼の家まで行ったら
たくさんの警察の
人がいて…
その時知ったぁ…
待ち合わせ場所に来る
途中で事故にあった
って…」


「…そぅ…だったんだ…。
辛かったよね…
由佳莉…」


私は強く抱き締めながら
そう答えた


「その時ね、喧嘩してたの
彼氏が私に謝りたい
からって私を
呼びだして…」


「うん…」


「彼の家に行った時
彼のお母さんにコレを
渡されたのぉ」


そう言い首からかかった
ペンダントを私に
見せてくれた


「これ…仲直りの
プレゼントだったん
だってぇ…。私に渡す
つもりで買って
待ち合わせ場所に
向かったからって…
お母さんに言われたの」


「……そっ…か…。」


「もう1年経つからぁ…
少しは前向きになれたと
思うのぉー…」


「うん…」


「でも…まだずっと
私の彼氏でいて
欲しくて…」



声にならない程
泣いて話す由佳莉を前に


私はただ抱き締めて
いることしか
出来ずにいた―…



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